HOME施工例東松山市 S様

工事内容、工期、予算(費用・価格)等の基本データ

タイトル

棟の瓦が。。。

いつの間にか所々なくなっていました

東松山市 S様

棟の瓦は全て釘止めされているため台風でも飛ばされてしまうことはありません。
しかし、気づいてみたら歯抜けの状態に。その原因は意外なところにありました。

今回の工事のポイント

ご要望タイトル画像お客様はこの様にお考えでした

1屋根全体の色にマッチする瓦で棟の修理をして欲しい

S様はスペイン産の瓦で屋根を施工されましたが、当時施工した会社もS様がご利用になった瓦メーカーの取扱いをやめてしまった為、修理できない状態になっていました。S様がインターネットで当社がスペイン瓦取り扱っていることを知り、当社に修理をご依頼いただきました。

2必要があれば関連する場所もキチンと修理したい

当方で現場を拝見した際、棟の下の瓦が寸法どおりキチンと加工して工事されているか確認できなかったため、棟の工事の他に棟の下の瓦も修理対象にする必要がある旨見積もり段階で申し上げました。その際、必要であれば該当部分も修理したい旨の回答をいただきました。

ここが原因です。瓦を釘止めしていた穴から雨水が漏水していました。

葺き替え工事のポイント

棟瓦を釘止めしていた木材が腐食していました

棟瓦を釘止めしていた木材が腐食した画像

赤い丸で囲んだのは棟瓦を固定していた釘が打ち込まれた場所です。

釘から雨水が漏水していたために釘の周りが腐食し、時間をかけて腐食した場所が拡大してゆきました。

その為、木材に瓦を固定する役割を果たす釘が抜けてしまった状態になってしまいました。

Tips 腐りやすい木材と腐りずらい木材
腐りにくい木材(画像はヒバ)
ヒバの画像

木材には腐りやすい種類と腐りずらい種類があります。

チークが腐りにくいのは非常に有名で、船の甲板など厳しい条件の下でも耐久性があり、最近はお住いの周りにウッドデッキを設けるケースが増えていることから、アピトンなども流通量が増えているようです。

身近な例では栗も腐りにくい性質があり、線路の枕木に用いられていることからもその高い不朽性のほどがわかりますが、住宅に用いた場合はアクが出やすいことから使用場所に注意が必要なようです。

建築によく使われる木材ではヒバが不朽性が高く、仕上がりも美しいことから高級住宅や神社・仏閣での使用されることが多いようです。
その他、ヒノキなども比較的腐りにくい種類とされていますが、スギやマツ等は、やや腐りやすい木材とされています。

棟瓦を釘止めしていた木材が腐食した原因

棟瓦を釘止めしていた木材が腐食した画像

原因1:釘が打ち込み切れていない
釘止めする際に釘と瓦の間にはパッキンと呼ばれる釘径と同じくらいの漏水防止の為のゴムが用いられます。

パッキンが最も効力を発揮するのは、手でパッキンが回らなくなった状態のときす。
それ以下では釘の打ち込みが緩くて漏水してしまいますし、それ以上打ち込むとパッキンが劣化しやすくなってしまいます。

原因2:棟の周りの南蛮漆喰が細すぎる
南蛮漆喰は上の写真で木材を覆っている白い漆喰です。昔から屋根で使っている漆喰とは成分が異なるため"南蛮漆喰"と呼ばれています。

この南蛮漆喰が細すぎるため、南蛮漆喰に雨が当たった際に水分が浸透してしまい木材が腐食しやすくなっています。

既存の棟を撤去し、どこまで修理が必要か確認します。関連する修理も見積もり段階で計上しておきます。

葺き替え工事のポイント

まず、瓦を釘止めする木材を固定する金具の状態を確認します。

瓦を釘止めする木材を固定する金具の画像

修理が必要になる屋根の共通点は、問題になっている場所の他に関連する場所も修理が必要になることです。

棟金具は赤丸を付けたような形状をしていることが一般的ですが、棟の修理で散見されるのは棟瓦を固定する金具の取付に問題があることです。

取り付ける間隔が広すぎたり、金具が取り付けてなくて南蛮漆喰の上に乗せた薄い木材に釘止めされているだけの状態のものもあったりする為、注意が必要です。

今回は金具の設置に特に問題がないことが確認できました。

棟直下の瓦の施工状態を確認します。

棟直下の瓦の施工状態の画像

棟直下の瓦は、屋根の大きさに合わせて適切な寸法で切断して使われることが殆どです。瓦の大きさはJIS規格で決まっていて、必ずしも瓦の大きさの整数倍が屋根の大きさになることは稀だからです。小さく加工することから「半端」といった名称で呼ばれることもあります。

また、棟直下であることから半端以外の瓦よりも若干、勾配をつけて施工しないと雨漏りの原因を作ることになることから、半端を入れる作業は慎重を期すことが求められます

画像では半端の大きさ、勾配の付け具合も問題ありませんでしたが、南蛮漆喰がかなり細く置かれていることが分かります。一番細いところでは15mmほどでしたが、私たちは通常60mm位は南蛮漆喰が瓦と重なるように工事しています。

以上の状況を勘案して工事に移ります。南蛮漆喰を置く時の太さ、棟瓦を固定する釘穴の処理がポイントです。

葺き替え工事のポイント

腐った木材を交換し、南蛮漆喰を太く置きなおしました

修理前は木材の高さで木材を覆う南蛮漆喰の太さがゼロ。修理後は木材の高さで木材を覆う南蛮漆喰の太さが30mm、瓦に近づくに従って南蛮漆喰は太くなって瓦を覆う南蛮漆喰の太さは60mm。通常の私たちの工事と同様の工事ができました。

南蛮漆喰が太く置かれると、厚みが増す分、中の木材を雨水から保護することが可能なだけでなく、棟瓦を安定させることもできます。

修理前の状態だと強風時に棟瓦が揺れて棟瓦同士が接触し、カタカタと音がするような状態で、施工完了時点から棟瓦の設置状態が不安定です。

瓦は静止した状態では風の影響を受けにくいのですが、動いて傾いた状態で力が加わると風の影響を受けやすくなります。

修理前の南蛮漆喰の状態
修理前の南蛮漆喰の状態
修理後の南蛮漆喰の状態
修理後の南蛮漆喰の状態

釘穴はゴム製のパッキンとシリコン処理で雨水の浸透を防止しました。

釘穴をゴム製のパッキンとシリコン処理で雨水の浸透を防止した画像

一般的に広く使われるようになった釘止めの際のゴムパッキン(画像では黒い小さな円形の部材。中央部の銀色の円はステンレス釘)ですが、使い方にも工夫が必要なことが分かってきました。

既にこのページでも記載しましたが、釘の打ち込み方がポイントの1つです。打ち込みすぎてもゴムパッキンの劣化を招きますし、打ち込みが足りないと今回の様に雨漏りを招いて木材を腐らせてしまいます。
ゴムパッキンが手で回らなくなるくらいが目安です。

また、今回の様に棟瓦の表面に凹凸がある場合、ゴムパッキンではシーリングしきれない場合があり、私たちが修理の使用したシリコン処理が必要な場合があります。

Tips 輸入瓦(巴)の施工
輸入瓦の巴の画像

輸入瓦は国産の瓦と役物(用いられる場所が限定されている特殊な役割を持っている瓦)の形状が異なります。

今回のS様のお住まいでは棟の端部で役物が用いられています。

棟の最先端の部分には「巴」が用いられますが、国産の巴に比べて小さくこれだけで用いると不安定になってしまうので、巴と棟瓦を接合して使用します。

Tips 巴の加工
オリジナルの巴の画像
巴を垂直に付けるために補助線を引いておきます(青い線。実際の工事では鉛筆の細い線で補助線を引きます)。これで、水平を計測する器具を用いて施工することで巴がまっすぐにつきます。
加工した棟瓦の画像
棟瓦は巴と重ね合わせて針金で緊結する為、重なり部分で凹凸がある部分を切断しておきます。

修理前の棟とほぼ同様の景観を保持することができました

修理前のお客様のご要望の一つが屋根全体の調和。
既存の輸入瓦とのマッチングを重要視されていました。

同じスペイン産の瓦でも、既存部分は濃い赤、当社で取り扱っているのは、やや明るめの赤。
若干の色の違いはありますが、よくバランスが取れた屋根に仕上がったと思います。

輸入建材は取り扱いを中止する時点でも、それまでにお世話になったお客様のために在庫を保持するべきだと私は思います。
ですので、私たちは取り扱った瓦の在庫を切らすことのないように心がけています。

修理前の棟
修理前の棟の状態
修理後の棟
修理後の棟の状態

工期、予算(費用・価格)等のまとめ

工事の内容

棟瓦を釘止めしていた木材をすべて交換し、南蛮漆喰も太く置き換えました。
棟瓦は破損して使えないものがあったため、当社取扱製品を新たに使用しました。
その他

工期、工事費用等の内容

工期
1日間
費用
10~15万

 

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