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タイトル

屋根端部の瓦が欠落してしまった土葺きの瓦屋根

屋根下地が腐朽してしまったことが原因でした。

太田市 N様

屋根瓦を釘止めしているのは屋根下地。屋根下地は木材ですから様々な理由で腐朽してしまうことがあります。
そうすると釘が効かなくなってしまうので瓦が欠落する等の原因なります。
N様のお宅では、瓦を固定する為の屋根下地を交換して釘が効くようにした後、瓦屋根を修理して元どおりの屋根に仕上げました。

今回の工事のポイント

ご要望タイトル画像お客様はこの様にお考えでした

1瓦が1枚無くなってしまったので、雨漏りしないかと心配です

N様の作業場では一番右端の列の瓦が無い状態ですので、該当部分の下に部屋がありません。ですから、すぐに雨漏りが起きる訳ではありません。
しかし、放置しておくと更に屋根下地が腐朽してしまうので、早期の修理に取り掛かりたいと思います。

工事完了後の屋根です

屋根下地を交換した後、新しい瓦も使って元どおりの瓦屋根にする修理が完了しました。

修理前の瓦屋根
修理前の瓦屋根の画像

瓦が一枚無くなってしまったことは屋根の下からでも分かったのですが、手前の断面形状が半円形の瓦(丸と言います)の並びも、あまり良くない状態だった為、周囲も必要箇所は修理することになりました。

修理後の土葺き屋根
修理後の瓦屋根

無くなった瓦とと全く同じ物を施主様が保管されていたので、瓦を加工せずに修理することができました。
特に最近の屋根材(瓦に限らずトタン等も)は製品寿命が短くなっていますので、可能であれば保管しておかれることをお勧めします。

瓦屋根の下地材を修理します。 今回修理した部分は土葺きの瓦屋根では、とても大事な部分です。

葺き替え工事のポイント

修理した部分の瓦屋根の下地材

修理した部分の瓦屋根の下地材の画像

赤丸で表示した木材が腐朽部分を撤去して釘止めした木材です。

土葺きの瓦屋根は厚さ3cmほどの泥の上に瓦を葺いて固定しています。
練った泥を使うので葺く時は適度な柔らかさがあり工事しやすいのですが、固まると瓦を固定する役目を果たします。

ですが、瓦の厚さに加えて泥の厚みが加わるので釘止めすることが難しく、軒先の瓦(唐草と言い、正面から見ると、お饅頭のような円形の部分があります)のみ手作りの長い釘で固定し、軒先以外の瓦の全重量を支えています。

軒先以外の瓦で唯一、瓦が下にずれないように支える役目をするのが「巴」という名称のかわらで、ここで修理した木材に釘止めした針金(青丸で表示)で固定します。

ですから、今回修理した部分の瓦屋根下地は非常に重要な役割を果たしている部分であることが分かります。

瓦屋根端部の名称と役割
瓦屋根端部の名称と役割の画像

赤丸を付けた瓦が「巴」です。巴の上に半円形の断面形状をした瓦が連なっている部分を巴を含めて「風切り丸」と言います。

軒先に使う瓦である唐草は、その上の全ての瓦の重量を支えていますが、巴は更に軒先の最先端で唐草の重量をも支える役割を果たしています。
そして、風切り丸は左右両端部の瓦である「ケラバ」の上に乗ってケラバが風で飛ばされてしまうことを防いでいます。

ですから、瓦屋根端部の瓦は、飾りと言い切れない大事な役割を果たしていることになります。

欠落した部分も含めて屋根瓦の修理をします。雨水が直接掛かる部分では南蛮漆喰を、掛からない部分では葺き泥を使っています。

葺き替え工事のポイント

欠落してしまった瓦屋根右端部の役物である「ケラバ」を付けます

欠落してしまった瓦屋根右端部の役物である「ケラバ」を付ける画像

瓦は下から順番に葺いてゆくため途中の瓦を1枚新たに入れるという作業は簡単な作業ではありません。
一枚ずつ瓦のねじれや寸法が微妙に異なるからです。

ただし、今回は施主様が偶然、同じものを保管されていた為、作業が若干容易になりました。

ケラバは屋根下地に対して垂直に折れ下がった部分(赤丸部分を指し、羽根と言います)がありますが、既存の2枚のケラバの羽根の間隔を差し金で計り、その寸法で新しく使うケラバの羽根を切れば、交換作業の準備ができます。

ただし、隙間が空かないように加工してゆくので、切直しの作業が数回必要になります。

瓦屋根下地を修理する為に撤去しておいた桟瓦を葺き泥を使って元に戻します

瓦屋根下地を修理する為に撤去しておいた桟瓦を葺き泥を使って元に戻す画像

ケラバが付け終わった後の画像です。

両隣の列は既存のまま修理しない為、高さが決まってしまっています。
ですから、両隣や上下の瓦の高さを参考にして瓦を葺いてゆきます。

ここでは、雨水が直接掛からない為葺き泥を使いました。
南蛮漆喰は葺き泥と違って高さ調節が難しいため、双方の特性を生かして使い分けています。

巴を付けて風切り丸を施工します

巴を付けて風切り丸を施工する画像

赤丸とオレンジ色の丸は修理して交換した木材に釘止めした針金に表示しています。
赤丸を表示した針金は巴を、オレンジ色の丸を表示した針金は、風切り丸で巴の上に連なる「丸」という名称の瓦を緊結します。修理前は「丸」は針金で緊結してありませんでした。

青丸を付けたのは南蛮漆喰という現代工法で葺き泥の代わりに用いる特殊な材料です。
直接雨水がかかる部分に泥を用いると年月とともに風化する可能性があるため、風化しない材料である南蛮漆喰を用いています。

巴でも固定されている南蛮漆喰は上の瓦が下にずれ落ちるのを防ぐ役割も果たしています。

風切り丸の修理が完成しました

風切り丸の修理が完成した画像

この画像の様に風切り丸は2本引くことが多いです。
本数が多ければ多いほど、耐風対策にはなりますが、工事費用が大変大きな金額になってしまいます。

簡単に言うと、全ての列で風切り丸を引く工法を「本葺き」と言い、神社やお寺などで用いる、現在では特殊な工法になります。

風切り丸はまっすぐに、そして平らに引くと大変きれいに見えるとともに、瓦屋根に重厚感が出ます。

瓦屋根の修理の為に部分的に撤去した棟を元に戻して修理が完成です。 既存部分の高さとのバランスに配慮します。

葺き替え工事のポイント

棟を撤去した理由

直前で風切り丸を2本引き直した記事をご紹介しました。
N様の作業場では風切り丸を固定しているはずの泥が雨水で風化してしてしまい、風切り丸が瓦の上に乗っているだけの状態でした。

そこで、瓦の欠落箇所の周りのみ風切り丸を引きなおしただけでは応急処置で終わってしまうため、棟を一部撤去し棟下の部分まで風切り丸を修理の対象としました。

もう一つの解決策は風切り丸を全て撤去して瓦を葺きなおす方法ですが、風切り丸を引きなおす作業よりも費用が増加する恐れがあったため、強風対策の役割を果たす風切り丸を生かす方向で修理を進める判断をいたしました。

積み直す前の棟
積み直す前の棟の画像風切り丸の上に棟が乗っているため、風切り丸を修理するにあたり棟を撤去することが必要でした。
積み直し後の棟
積み直した後の画像風切り丸を全て撤去してから修理したため、新たに瓦屋根下地から釘止めした針金で風切り丸を緊結することが可能になりました。

工期、予算(費用・価格)等のまとめ

工事の内容

風切り丸を引きなおすために必要な部分を撤去し、棟を積み替えました。
平葺き
腐朽してしまった屋根下地を修理した後、欠落したケラバを付け替えました。
2本の風切り丸を全て撤去した後、施工し直しました。その際、風切り丸を緊結する為の針金を新たに屋根下地に釘止めしてあります。

工期、工事費用等の内容

工期
2日間
費用
5~15万

 

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