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リフォーム・修理の内容、工期、予算(費用・価格)等の基本データ

タイトル

台風で破損した屋根瓦

周囲の瓦も修理が必要でした

太田市 S様

S様のお住まいは築後30年以上。破損部分の瓦を固定する為に使われていた泥が脆くなり、動きやすくなっていました。
今すぐに雨漏りする様な状況にはありませんでしたが、修理が必要な部分は瓦屋根の中でも大事な部分。放置してしまうと大きな修理に発展しかねないこともあり、今回修理していくことになりました。

今回の工事のポイント

ご要望タイトル画像お客様はこの様にお考えでした

1まずは、今回の台風で破損してしまった部分を交換して欲しい

今回の修理をご依頼いただいのも破損してしまった瓦の交換。瓦屋根は部分的な修理は容易にできるところが長所です。

2風切り丸(後述)は全て施工し直し、長持ちするような方法で工事して欲しい

きっかけは風切り丸の瓦が破損してしまったことでしたが、状況を調べてみると風切り丸の固定に使ってあった泥が劣化して修理が必要な状況でした。現代工法では泥を使わず全て漆喰で工事するようになったため、劣化して脆くなることは決してありません。

工事完了後の屋根です

修理前は瓦の固定に泥を使っていましたが、今回の修理では全て漆喰を使う施工方法を採用しています。

泥が使われていた修理前
泥が使われていた修理前の画像

赤丸で囲んだ部分が泥の表面を保護する目的に使われた漆喰です。内部の泥は粒子状になって脆くなってしまいました。

全て漆喰を使った修理後
全て漆喰を使った修理後の画像

現在は漆喰が改良されて瓦を固定する目的にも使うことができるようになり、内部からすべて漆喰を使って施工できるようになりました。

今回修理するのは「風切り丸」と呼ばれている部分。 風切り丸について簡単に説明します。

葺き替え工事のポイント

風切り丸とは

風切り丸の画像

「風切り丸」の名称は普段あまり耳にすること無い言葉と思います。

風切り丸とは屋根の左右両端部にあって、棟から軒先に向かって断面が半円形上の瓦を真直ぐに引いた部分です。
画像の赤丸部分が風切り丸です。

今回使用した画像は入母屋屋根の風切り丸ですが、切妻屋根に引いた風切り丸は棟から軒先先端までまっすぐに伸びています。

風切り丸の役割
風切り丸の役割の画像

画像は切妻屋根を表していて、色が付いている部分は瓦が飛ばされやすい場所を表します。
色が濃くなるにしたがってその度合いが高くなります。

S様のお住まいで風切り丸が引かれている場所は左右両端部ですから、瓦が飛ばされやすい場所のかなりの部分をカバーしていることになります。

風切り丸は固定する際に屋根下地から直接釘止めされた針金で緊結しますので、それだけでも周囲の瓦を風の力から守ることになりますが、固定する目的で使われる漆喰と合わせた重量を加味すると一層、その効果が増すことが分かります。
図は国立研究開発法人 建築研究所「屋根ふき材及び屋外に面する帳壁の風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算の基準を定める件」より引用

手順その1 既存部分を全て撤去し、固定の為に用いるのは全て漆喰で施工します。

葺き替え工事のポイント

瓦を撤去してみました

赤丸の部分が泥を保護するために塗られた漆喰です。

漆喰は泥が直接雨水に接しないように保護する反面、水を吸収する性質があるので雨が降ったあと乾くまでの間に泥に水分を供給する役割も果たします。

泥は水分を吸収したり吐き出したりを繰り返すと、脆くなって粒子状になる性質があるので徐々に劣化して行きます。

泥が粒子状に劣化した部分
泥が粒子状に劣化した部分の画像漆喰に接している部分から徐々に劣化して行き粒子状になってしまいました。
泥が劣化していない部分
泥が劣化していない部分の画像劣化していない部分は一塊で瓦をしっかりと固定します。ですが、水分の吸収を繰り返して、いずれは粒子状に変化します。

漆喰を置く部分をきれいに掃除します

漆喰を置く部分をきれいに掃除した画像

漆喰を置く部分の瓦を棟側から軒先まで全て綺麗に掃除します(赤丸部分)。

漆喰の下にホコリが残っていると漆喰が瓦と接着しにくくなるので、それを防ぐための措置です。

適量の漆喰を平らに、そして真っすぐ置きます

適量の漆喰を平らに、そして真っすぐ置いた画像

漆喰を置きます(赤丸部分)。

置いた漆喰が曲がっていると風切り丸も曲がってしまいますし、凸凹に置くと風切り丸も凸凹になってしまいます。
漆喰は風切り丸を固定する、まさに土台の役割を果たすので、漆喰の置き方が風切り丸の出来を左右します。

風切り丸が完成しました

漆喰の置き方で風切り丸の出来は決まりますが、それでも若干の曲がりや不陸はあります。
それを目でとおして、あたかも1本の瓦を置いたように仕上げます。

2本の丸を1か所と勘定して、全部で7か所の風切り丸を新たに施工し直しました(画像は2階屋根の4か所のみです)。

2階北面西側の風切り丸
2階北面西側の風切り丸の画像
2階北面東側の風切り丸
2階北面東側の風切り丸の画像
2階南面東側の風切り丸
2階南面東側の風切り丸の画像
2階南面西側の風切り丸
2階南面西側の風切り丸の画像

工期、予算(費用・価格)等のまとめ

工事の内容

平葺き
7か所、合計14本の風切り丸を全て漆喰を使って施工し直しました。

工期、工事費用等の内容

工期
6日間
費用
20~25万

 

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