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白く変色してしまった瓦を撤去

一文字唐草を使って屋根を葺き替えました

太田市 U様

昭和40年代に深谷地方で生産された一部の瓦では上薬の開発がうまく行かず、経年劣化で白く変色してしまいました。
お客様は変色してしまった瓦のこのことを長年気にかけておられ、今回、葺き替えのご判断をされました。

今回の工事のポイント

ご要望タイトル画像お客様はこの様にお考えでした

1変色の少ない瓦で葺き替えたい

葺き替え前は上薬(釉薬と言い、オレンジや緑、青など様々な色があります)が塗ってある陶器瓦を使っていました。今回はこの陶器瓦ではなくお寺などによく使ってある日本瓦を選択し、対候性で定評のある愛知県産の瓦を使いました。

2離れのお住まいと同じ一文字唐草を使ってほしい

屋根の軒先先端に使ってある瓦を唐草と言います。正面から見るとお団子のように円形をした突起部分があるので「万十唐草」とも言います。一文字唐草はこの円形をした突起部分が無い唐草を言います。今回一文字唐草を用いることで離れとデザインがお揃いになります。

一文字唐草は元々数寄屋建築などで用いられてきました。 直線美が魅力で、施工の際にも細かな配慮が求められます。

葺き替え工事のポイント

一文字唐草とは

一文字唐草にはお団子の様な円形の突起部分がありません。正面から見てまっ平に見えるだけでなく、下端も直線に見えます。
文字どおりの一文字で直線美が魅力です。

万十唐草の場合は唐草同士の重なり目が円形の突起部分で見えなくなりますが、一文字唐草の場合は突起部分がないので、唐草同士の重なり目が丸見えになっています。

一文字唐草は全て手作業でこの接合部分を擦り合わせて行かなければなりません。泥を焼成して製品化する為、寸法調整も含めて既製品をそのまま取り付けることができないからです。

一文字唐草
一文字唐草の画像
万十唐草
万十唐草の画像

一文字唐草を付ける作業です。

一文字唐草を付ける作業の画像

前項の画像の様に重なり目をすり合わせる作業が完了した後、実際に一文字唐草を施工する作業を行います。

まずは、全ての一文字唐草の下端の直線部分が一直線になるようにしますが、その際に目安として水糸を使います(画像ではピンク色の細い線)。

ただし、水糸は自身の重さで若干真ん中あたりがたるみますので、あくまでも目安とし施工者の目で平らについているかどうかを確認しながら作業を進めます。

Tips 一文字唐草を付けるときの配慮 1
一文字唐草を付けるときの配慮の画像

画像は一文字唐草を上から見ています。2枚の一文字唐草が重なる部分では、下側になる瓦「A」よりも上側になる瓦「B」を棟側に向けて、少しだけバックさせて付けます。

AとBを一直線に付けてしまうと、工事後、年数が経過してBが下がった時に、Bが飛び出して見えてしまうからです。

Tips 一文字唐草を付けるときの配慮 2
一文字唐草を付けるときの配慮の画像

瓦を固定するのに使われるのは泥です。画像中央部やや上が施工に使われた泥です。

泥は硬化してしまうと瓦の固定に最適ですが、硬化するまでの間に、瓦の重みでつぶれてしまうことがあります。

そんな状況を防ぐ為に、使用するのが木片。泥が硬化するまで、唐草を支えて施工時の高さを維持する役割を果たします。

具体的には赤丸で囲んでいる部分に使ってあります。一文字唐草の工事用に適度な大きさにカットしてあります。

ブルーシートを有効活用します。瓦を葺くところだけはがして、工事を手掛けないところはブルーシートを掛けたままにしておきます。

葺き替え工事のポイント

最初に一文字唐草を付ける際も必要な部分だけシートを剥がします

ブルーシートの使い方画像

一文字唐草の場合は、全ての工事に先立って一文字唐草を付けます。

その際も、唐草を付けるのに必要なスペースだけブルーシートを剥がして、唐草を付け終わったら唐草の上に再度シートを掛けておきます。

瓦を上げる際も工事のはかどり具合を考えながらシートを剥がしてゆきます。

瓦を上げる際のブルーシートの使い方画像

瓦を屋根の上に上げてしまうと、ブルーシートを掛けて養生することが難しくなってしまいます。

その理由は、瓦が置いてある所と置いてない所で凹凸が生じ、瓦を置いてない所は相対的に低くなって雨水がたまり、雨漏りしてしまうことがあるからです。
したがって、瓦を上げてしまったところでは、ブルーシートが役に立たないと考えておいたほうが無難です。

画像ではこの日、奥の方の面しか仕上げることができないと判断したため、手前の面はブルーシートを剥がさず、そのままにしておきました。
ブルーシートの上に置いてある瓦は、風でブルーシートが飛ばないように重しの役目を果たすように意図しています。

瓦の屋根を修理する際は樋との兼ね合いも注意が必要です。場合によっては雨漏りしたり、雪が降った時に樋が損傷したりすることがあります。

葺き替え工事のポイント

樋に雨水が入るかどうかの判断基準

樋に雨水が入るかどうかの判断基準の画像

屋根を修理する際に意外と盲点になりやすいのが樋に雨水がきちんと入るかどうか?ということです。

屋根材(今回は瓦)の先端からの距離や屋根材との高さを計算して樋をかけてあるので、修理の際にこれらの数値が変わることで樋の中に雨水が入らない!といった事態が生じることがあります。

瓦の場合は瓦の先端が樋の真ん中よりも前に出ていれば大丈夫です。瓦の場合は上から流れて来た雨水が、少しですが瓦の裏側に回り込もうとするので、樋の真ん中よりも前に出しておかないと樋の中に入らない時があります。

雪が降った時に樋が損傷するかどうかの判断基準

雪が降った時に樋が損傷するかどうかの判断基準画像

2014年に関東地方に大雪が降った際、多くのお住まいの樋が雪の重みで損傷しました。

この時の教訓で樋の掛け方も少し変わりました。

画像の赤い矢印は樋と屋根の仕上がり先端の距離を表しています。

一般的な目安ですが、15mm程度であれば安心。前に出しても30mm程度にとどめておきたいものです。

屋根の周りを頻繁に飛び交う雀。雀の巣の対策で屋根の瓦に使うのが面戸です。

葺き替え工事のポイント

軒先に使う瓦である唐草と一緒に使うことで雀の侵入を防ぎます

雀はお住まいの様々な場所から侵入して巣を作りますが、そのうちの1つが軒先の瓦と屋根下地の隙間です。

瓦は曲線を描く場所が必ずあるので、そこからの侵入が最も可能性の高い場所です。

昔はそこを漆喰で塞いでいたのですが、現在はプラスチック製の「面戸」という部材で雀の侵入口を塞いでしまいます。

築後の年数が経過して漆喰がとれてしまい、雀が侵入しやすくなっているお住まいの場合でも面戸を取り付けて雀の侵入を防ぐことも可能です。

面戸を屋根下地の木材に釘で取り付けた状態
面戸を屋根下地の木材に取り付けた状態の画像
面戸を瓦と屋根下地の隙間に差し込んだ状態
面戸を瓦と屋根下地の隙間に差し込んだ状態の画像

工期、予算(費用・価格)等のまとめ

工事の内容

平葺き
既存の瓦をすべて撤去した後、葺き替えました。
瓦はすべて新しいものを使用しています。
平葺きと同様、既存の瓦をすべて撤去した後、棟を積み替えました。
瓦はすべて新しいものを使用しています。
面戸
雀の侵入を防ぐ面戸を取り付けました。
木工事
屋根下地を撤去後、施工しなおしました。

工期、工事費用等の内容

工期
9日間
費用
100~150万

 

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